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 2.1 節 惑星の起源 -物質の物理による惑星の誕生の理解-

 2.1.1 節 太陽と惑星の誕生
 
-太陽系の誕生のシナリオには未解決の課題が残されています-

 太陽系形成の理論には膠着論とジャイアントインパクト説が論議されています。 太陽系形成の標準モデルされるシナリオでは星間分子雲から原始太陽系円盤ができ、その塵の層に微惑星ができ、 原始惑星となり、惑星が形成されたとされています。ところが、最初に最も軽い水素分子が重力によって集まって、太陽ができたとされている説明には納得できません。
 現在の太陽系では太陽の質量が99.86%であり、惑星太陽系の中心にあった原始太陽は急速に巨に成長しました。惑星を形成したのは太陽系の全体の質量の僅か 0.14%程度です。 惑星は太陽中心の重力場の公転軌道はケプラーの第3法則(r3/T2)=G(m+M)/(4π2)で決まる軌道を周回しています。 ここで、Mは太陽の質量であり、mは惑星の質量です。 現在の惑星の公転軌道が円に近く、自転周期が惑星の質量にほぼ反比例することなどから 、惑星を形成した星間物質は太陽の公転軌道を周回し続けた物質であると説明できます。
 即ち、同じ公転軌道にある物質は大小にかかわらず,ほぼ同じ速度で周回しています。 同じ公転軌道を同じ速度で周回する物質はゆっくりと接触して、原子と原子が原子間距離程度に接近すると、 物質の正と負の電荷が相殺されずに化学的な相互作用をします。原子の大きさの距離ではクーロン力の力は万有引力の力に比べて1036倍も大きいです。 そこで、太陽も惑星も誕生は同じ時期であったとして、太陽系の重力の中心にあった太陽は急速に成長しますが、質量の小さな天体の降着による成長速度は非常に遅いです。
 天体の誕生の当初は重力が弱いので、H₂Oは氷、CO₂はドライアイスとして接触して塊となって成長を始めました。 同じ公転軌道上の星間物質が合体して塊となり、その塊が惑星になりました。

 2.1.2 節 小天体と小天体の衝突による天体の成長 
-同じ公転軌道の星間物質が衝突して惑星が成長するメカニズム。-

   宇宙塵の固体と固体が接触すると、接触点で局部的に結合して塊になります。 同じ公転軌道上の小さい星間物質の塊が相互に接近してもそれぞれの重力が弱いので衝突の衝撃は弱いです。緩やかに接触すれば、微粒子が分子間力などで付着して塊となり、安定な低いエネルギー状態になります。
  惑星が大きくなると落下する隕石の衝突のエネルギーも大きくなります。隕石衝突により惑星の表面が高温なります。 隕石の諸突で惑星の中心部の温度が上昇しのではなく、 大きな塊になった天体の内部では圧力が高くなり、圧力が高くなるほど温度が上昇します。
 同じ公転軌道上で大きくなった惑星が相互に接近すると両者間の万有引力が強くなり、「ジャイアントインパクト」が発生します。 衝突後も加え合わせた重心は変わりなく公転軌道を周回します。やがて衝突で飛散した破片は重心に集められて大きな惑星になります。このように太陽中心の重力場の公転軌道上で宇宙塵が塊となり、微惑星となり、微惑星が小惑星になり、小惑星が惑星になったという太陽系の形成のシナリオを提案します。(2025年5月17日) 
(写真はPixta提供7751137)
         

 2.3 節 地球型惑星の形成 -太陽風の影響-

 惑星のような天体は物質であり、最初に天体を形成する過程はクーロン力のような近距離力によります。 その力の作用はオングストローム(10-10m )の単位で論議される接近した距離です。万有引力では物体の形成過程を説明できません。原子レベルの世界では 万有引力は近距離力と比較して桁が35も小さいのです。 太陽も惑星と同じように 最初は星間物質が静かに接触して分子間結合で付着して塊となり、成長した考えます。太陽系の中心部は星間物質の濃度が高く、太陽の成長速度が速く著しく大きくなりました。微細粒子は固体を繋ぎとめる役割を果たします。しかし、岩石惑星が水の分子や微粒子を太陽風 が吹き飛ばしてしまう 環境で誕生するの困難です。
  J. S ルイスは惑星と衛星の内部構造を調べ、太陽から遠くになるにつれて低い温度で凝固した材料から天体が作られたという平衡凝縮説(1974)を提案しました。 この平衡凝縮説では外惑星は太陽と殆ど同時に誕生したと説明していますが、原始太陽系星雲が2000℃くらいの状態で惑星が誕生したとして、 その時に現在の惑星の内部層構造がほぼ出来上がっていたという説です[5]。
 ここで、 ルイスの説の初期の太陽系の高温状態が太陽の核融合によると変更して、 太陽が核融合始めた時にはかなり太陽系の惑星も形成されて初めていました。太陽が核融合爆発をして、太陽から放出された隕石が惑星に衝突して地球型惑星の表層にマグマオーシャンを作り、その時に取り込まれていた気体成分が放出されて 金星の多量の二酸化炭素の大気や、地球の多量の海水ができたと説明できます[5]. また、金星の自転が時計回転方向であるのは反時計方向の回転成分を持つ太陽風が赤道付近を中心に正面から衝突して大気に時計回転方向の「スーパーローテーション」を引き起こしたとして説明できます[6]。

[参考文献]
[5] 秋山雅彦, 「大気のおいたち 」、pp.25, 青木書店、1987年2月。
[6] 唐澤信司, 「物性論に基づく比較惑星学」, 2017
  http://www7b.biglobe.ne.jp/~shinji-k/Jp%20planetology%20page4.htm


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